人気8作家によるコラボプロジェクト「螺旋プロジェクト」の一つである、朝井リョウ著『死にがいを求めて生きているの』。
運動会の徒競走、テスト順位発表など個人間の競争がなくなってきた「平成」を舞台に生きる人たちの葛藤を描く物語です。
この記事では、本作品の感想とあらすじ、そしてもし映像化した場合のキャスティング予想をしています。
『螺旋プロジェクト』とは
この作品は、8名の人気作家によるコラボプロジェクトである「螺旋プロジェクト」の一環でつくられました。
参画している8名は、朝井リョウ、天野純希、伊坂幸太郎、乾ルカ、大森兄弟、澤田瞳子、薬丸岳、吉田篤弘。
彼ら8名の共作ではなく、ある共通のルールを決め、原始から未来までの各時代をテーマに小説を書く競作企画です。ルールに従い、8者8様の作品がつくられる非常に面白い企画で、読者としてはそそられます!
共通のルールは以下の3つ。
①「海族」vs「山族」の対立を描く
②共通のキャラクターを登場させる
③共通シーンや象徴モチーフを出す
あらすじ・書籍情報
あらすじ
病院で寝たきりの植物状態の南水智也と彼を献身的に看病する堀北雄介。2人は子供の頃からずっと一緒だった。一見すると正反対に思える2人の間にあるのは友情なのかそれとも・・・。
毎日同じことの繰り返しに違和感を感じながらも淡々と過ごしている看護師。なにかをやり遂げ、他とは違う存在でありたい大学生。会社や家族から疎まれながら悶々と過ごしているTVディレクター。
そんなあらゆる登場人物からからみた智也と雄介は?
生きやすく、生きづらい「平成」を生きる人たちの葛藤を描く長編小説。
書籍情報
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- 発売:2022年10月(文庫版)
- 著者:朝井リョウ
- ジャンル:現代社会・小説
- 文庫版全548ページ
感想 ーオンリーワン信仰が生んだ歪みー
”ナンバーワン”にならなくてもいい、もともと特別な”オンリーワン”
SMAPの『世界に一つだけの花』が大ヒットした平成時代。
運動会から徒競走がなくなり、学校ではテスト順位が貼り出されなくなりました。
人と比べるのではなく、個性を大事にしようという風潮が一気に高まりました。
しかし、人間は周りと比べられずにはいられない生き物。社会が決めてくれないのであれば自分自身で周りと比べる指標を探し、自分の個性を見つけないといけなくなってしまいました。
個性探しの時代です。
自分の個性は? 自分は何者なのか? 自分は何のために生きているのか?
正解のない問いかけを自分自身にし続ける毎日。
そうした結果、本作品に登場する雄介のように、周りにどう思われようとむりやりにでも自分の生きがいや使命を見つけ、苦しむ人が生まれてしまったのかと。
物語の最後、私は不気味さと恐怖を感じました。これがオンリーワン信仰が生んだ時代の歪みなのでしょうか。
それにしても、個性探しの時代を生きる人々を書く朝井リョウは秀逸すぎます。
映像化したら~ 勝手にキャスト予想
『生欲』が2023年に稲垣吾郎と新垣結衣で映画化が決まりました。
その他にも『桐島、部活やめるってよ』『何者』等映像化の多い朝井リョウ作品ですので、こちらもいずれ映像化されるのでは、と勝手にキャスト予想をしてみました。(完全にただの趣味です)
『桐島、部活やめるってよ』と『何者』は、U-NEXTで観ることができます。
無料トライアル実施中!<U-NEXT>
個人的には螺旋プロジェクトシリーズとして、すべての作品を2時間ドラマ化するのも面白そうかなと。そんなイメージでキャスティングしてみました。
- 南水 智也 役:鈴鹿央士
透明感と”水”っぽい清涼感が似合う俳優さんです。ドラマ『silent』でいい演技をしていましたので話題性、演技力も申し分なし。<参考>『silent』は2022年秋ドラマでおすすめNo.1のドラマです。
【おすすめ2022秋ドラマ】最終回を観ての感想・勝手にランキング今回は過去に書いたこちらの記事の続きです。 2022年最後のクールドラマが終了しました。 全... - 堀北 雄介 役:水上恒司(旧芸名:岡田健史)
鈴鹿くんが175cmオーバーなので、雄介役は180㎝の俳優をチョイス。『中学聖日記』で衝撃デビューをした岡田くんです。昨年から本名に変えて活動をしています。180㎝越え俳優はモデル体型の方が多く、体格を考えると水上さんが似合うと思いました!
- 坂本 亜矢奈 役:山田杏奈
鈴鹿くんと同じく透明感で選ばせていただきました。2人並んだら透明感が爆発しそうです。
- 安藤 与志樹 役:作間龍斗(HiHi Jets)
どうしてもジャニーズ枠で一人いれたく。。ただ、安藤のどこかにいそうな大学生役としては年齢も近くどこかやさぐれ感をもっている若手がよいと感じ選びました。
- 波多野 めぐみ 役:吉川愛
主要人物ではありませんが、ぜひ演じてもらいたいと思ったので!清楚で色気のある大学生役。
まとめ
以上、朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』の感想&キャスト予想でした。
螺旋プロジェクトという企画自体の面白さはもちろん、朝井リョウ作品ならではのリアルな”今”を楽しむことができる一冊です。
(おたちゅー妻)
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